方向音痴にまにあわない

思ったこと、映画、音楽の事なんかを書いていこうと思います

観客甘やかし問題について

“観客甘やかし問題”というのについて、何故だかこのタイミングで考えていたんだけれど、何がきっかけかはよく思い出せない。

“観客甘やかし問題”ってのは宇多丸さんがラジオ番組(ウィークエンドシャッフル、通称タマフル)なんかで言っている、何でも台詞やナレーションで説明してしまうというやつだ。通常は邦画の映画評で使われる。
登場人物が感情を全部台詞として喋る。出来事を台詞で説明してくれる。電話してる相手の言葉も一緒に喋る。とか、そういうやつだ。
かつて、たけしが「映画の理想はサイレント」と言ってたのとは真逆の現象だ。

たしかにこれは下品かもしれない。品がどうのこうのってより、すべて説明されて頭にはいるより、自分で感じて、解釈して頭にはいる方が強く心に残るだろう。
たしかに、難しくてわからないものもある。
まあ、でもそれはそれでいんじゃないかとも思う。
そういう、よく分かんないものをよくわかないなりに楽しんだり、受け入れたりすればいい。タルコフスキーの映画なんて、ちゃんと理解なんてできるわけないんだから。

まあ、この甘やかしについては、映画よりもひどいことになってるのがテレビ業界だ。

一時期話題になってた鉄拳のパラパラ漫画。
あの動画は台詞は一切ないけど、物語自体はかなりベタだし、誰だって見ればわかるものだ。しかし、ゴールデンで放送されたときに、わざわざ字幕で説明をテレビ局が入れていた。もう、ばかじゃねえかと。
そんなことしたら、鉄拳がサイレントで作った意味がないじゃん。感動も半減するだけ。

しかし、今一番甘やかしが過ぎてるのが、目覚ましじゃんけんだ。
目覚ましテレビでやってるコーナーでお天気お姉さんやゲストがじゃんけんするんだけど、毎回じゃんけんの後に必ず、「私はグーを出しましたのでパーを出した人が勝ちです」と説明が入るのだ。

始めてみたときから、何なのあれ、とおもってしまった。じゃんけんぐらい誰でも知ってるでしょ。小さい子向けなのか?でもそんなの、親が教えればいいし、教えなくても幼稚園とかでそのうち覚えるでしょ。それとも、屁理屈を言ってくるクレーマー対策?

まあ、何にしてもこんなことばっかりやってるとおかしな事になっちゃうよ、と感じる今日この頃です。